怒った拍子に窓ガラスを思いっきり殴り割ってしまった

「短気は損気」という言葉を、私は両親から耳にタコ、いや耳にクラーケンができるほど言われ続けてきた。「勉強しなさい」とは一度も言わなかった両親がそれだけ言い続けるということは、よほど私の性格に対して腹に据えかねるものがあったのだろう。その両親の危惧は現実となり、私は小さい頃から友人や先生たちとトラブルになることが多かった。けれど勝気な割に打たれ弱い私は、様々なトラブルで傷つくたびにそれなりに学び、友人曰くトゲトゲだった私の性格も、誰かと衝突するたびに一つずつそのトゲが取れ、今ではすっかり「本っ当に丸くなったね!」と昔の友人に会うたびに驚かれるほどである。大人になった、というヤツである。

ところがそんな私が久しぶりにトゲを生やしてしまった事件が起きた。夫との間に久しぶりに激しいバトルが起きたのである。理由は何だったのか覚えていない(それくらいささいな理由だったということだ)。けれどいつもなら「ハイハイ、オレが悪かったよ」と引く夫が、その日はやけに強情だったので、どちらも引くに引けなくなってしまったのだ。結局引っ込みどころが分からないイライラを持て余した私は、布団や衣類などの柔らかいところに向ければよいものを、自分のトゲを思い切り窓ガラスにぶつけてしまったのである。私のトゲをモロに食らった窓ガラスは大きな破壊音とともに砕け散ったのだった。

私の手は血まみれで、夫が怒鳴り、子供は泣き叫んでいた。近所の人が何事かと我が家の様子を伺う中、「短気は損気」という言葉をまさに痛いほど痛感したのだった。

それからしばらくの間、菩薩様のような毎日を心掛けて過ごしていたことは言うまでもない。